（バッタ欲しい者いないか）

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
「バッタ欲しい者いないか。」
二、三人近寄った。
「ちょうだいな。ちょうだい。」
新しく近寄った女の子が虫を見つけた男の子の後ろで言った。男の子は軽く振り返ると素直に身をかがめて提灯ちょうちんを左に持ち代え手を草の間に入れ。
右た「バッタだよ。」
「いいからちょうだい！」
男の子はすぐ立ち上がると握ったこぶしを、それ！という、ふうに女の子の前に突き出した。女の子は左の手に提げていた提灯のひもを手首に懸
か
け両手で男の子のこぶしを包んだ。男の子が静かにこぶしを開く。虫は女の子の親指と人差し指の間に移っている。①あら、鈴だわ。バッじゃなくってよ。」と、女の子は褐色の小さい虫を見て目を輝かせた。
「虫タ「鈴虫だ！ 鈴虫だ！」
子供たちはうらやましうな声を合わせた。
そ 「鈴虫よ。鈴虫よ。」
女い「鈴虫よ。」
の子は②明る知恵の眼をちらと虫をくれた男の子に注いでから腰につるしている小さい虫かごを外
はずしてその中に虫を放した。
「③ああ、鈴虫だよ。」と、鈴虫を捕らえた男の子はつぶやき、虫かごを顔の真近に掲げて眺め入っている女の子に自分の五色のしい提灯掲げて明かりを与えてやりながらちらちらと女の子の顔を見た。
美をそうか？ と私は男の子が④ちょっと憎くなるとともに、初めてこの時男の子のさっきからの所作が読めた我が愚かしさを嘆いたである。
の

問一①「あら、鈴虫だわ。バッタじゃなくってよ」、③「ああ、鈴虫だよ」にこめられている気持ちを次から選びそれぞれ記号で答えなさい。
ア 驚き 得意さ
イ 意外さ 失望
ウ 余裕 快感
エ 意外さ いぶかしさ
オ 得意さ 軽蔑

問二②「明るい知恵の眼をちらと虫をくれた男の子に注いで」にこめられている「女の子」の気持ちを次から選び、記号で答えなさい。
ア 自分が優位に立とうとする気持ち。
イ 男の子を馬鹿にするような気持ち。
ウ 喜びを感じながらも、軽く男の子をたしなめる気待ち。
エ 優越感にひたろうとする気持ち。

問三④「ちょっと憎くなる」の心理を次から選び、記号で答えなさい。
ア 純粋な子どものイメージで彼らを見ていた「私」の気持ちが裏切られ、残念に思う。
イ 子どもでありながら行動があまりにも大人びているので憎悪感を持つ。
ウ 子どもながら計算されたあざやかな演技に一本とられたという気持ち。
エ 特定の女の子だけを喜ばせるための演技だったと知りにくしみを感じる。

問四この文章に描かれている「女の子」の性格を次から選び、記号で答えなさい。
ア 明朗で快活
イ 好奇心が強くうたぐり深い
ウ 冷静でつめたい
エ おとなしくひかえめ

解答
問一①エ②ウ
問二ウ
問三ウ
問四ア