校長先生が、ほかの先生のいる職員室じゃなく、台所で、受け持ちの先生に怒っていた事を、トットちゃんは、忘れなかった。
(そこに、小林先生の、本当の教育者としての姿があったから……)
という事は、トットちゃんには、わかっていなかったんだけど、なぜか、いつまでも、心の残る、先生の声だった。
春が……トットちゃんにとって、トモエでの、二度目の春が、もう、本当に、近くまで、来ていた。
校庭の木には、緑色の柔らな葉っぱが、どんどん生まれていた。
花壇の花も、咲くのに大忙しだった。
クロッカスや、ラッパ水仙、三色スミレなどが、次々と、トモエの生徒たちに、「はじめまして」をいった。
チューリップも、背伸びをするように茎を伸ばし、桜の蕾は、まるで”用意ドン!!”の合図を待っているような恰好で、そよ風に揺られていた。
プールの横にある、小さくて四角いコンクリートの足洗い場に住んでる金魚は、黒の出目金をはじめ、みんな、それめ、じーっとしていたのが、のびのびと楽しそうに体を動かしていた。
何もかもが、光って、新しく、生き生きと見える、この季節は、誰かが口に出していわなくても、もう、「春!」って、すぐわかった。
トットちゃんが、ママに連れられて、初めてトモエ学園に来た朝、地面から生えてる校門に驚き、電車の教室を見て、飛び上がるほど、喜び、校長先生である小林宗作氏を、「友達だ!」
と決めてから、ちょうど、一年たち、トットちゃん達は、めでたく、ピカピカの二年生になったのだった。
そして新しい一年生が、昔、トットちゃん達が、そうだったように、キョロキョロと学校に入って来た。
トットちゃんにとって、この一年は、本当に充実していて、毎朝が待ち切れない一年だった。
チンドン屋さんを好きなことには、代わりはなかったけど、もっともっと、いろんな好きなことが、自分の周りにあることを知った。
前の学校で、「もてあましもの」として退学になったトットちゃんが、今は、もっとも、トモエの生徒らしいように育っていた。
でも、「トモエの生徒らしい……」。
これは、ある点、親にとっては、心配でもあった。
校長先生に、すべての面で、子供を預け、信頼してるトットちゃんのパパとママですら、たまには、
(大丈夫かな?)
と思うことがあった。
まして、小林先生の教育方針を半信半疑で見て、現在のことだけで、すべてを決めようとする親の中には、(これ以上、子供を預けておいては、大変!!)
と考えて、よその学校に転校させる手続きをする人もいた。
でも、子供はトモエと別れたくなくて、泣いた。
トットちゃんのクラスには、幸いなことに誰もいなかったけど、ひとつ上のクラスの男の子は、転んだときに出来た、膝小僧の、かさぶたをブラブラさせながら、涙をポロポロこぼして、黙って校長先生の背中を、握りこぶしで、叩いていた。
校長先生の目も、真っ赤だった。
でも結局、その子は、お父さんとお母さんに連れられて、学校を出て行った。
何度も何度も振り返りながら、手を振って、出ていった…… でも、悲しいことは、それくらいで、また驚きと、喜びの毎日が来るに違いない二年生に、トットちゃんは、なったのだった。
ランドセルも、もう、すっかり、背中とお馴染みになっていた。
还有一件事给小豆豆留下了深刻印象,即校长不是在有其他老师在场的办公室,而是在厨房里对班主任老师进行严厉的批评。其实,这本身正体现了小林校长作为教育家的本色,……而小豆豆当时对这一点是无法理解的,但校长的声音却不知为什么永远永远地留在了小豆豆的心中。
春天,小豆豆进巴学园的第二个春天,已实实在在地近在眼前了。校园里的树木已经开始生机勃勃地吐出鲜绿的嫩牙。花坛里的花也在竞相开放。番红花、喇叭水仙花、三色紫罗兰等,一个接一个地向巴学园的学生们道着首次见面时的问候话:
“今后请您多关照啦!”
郁金香也长高了,仿佛在伸展着腰枝,樱树上含苞欲放的花蕾则正在微风中翩翩起舞,那姿态就好象在运动会上等待着起跑的命令。
住在游泳池旁边的那个小小四方形水泥池子里的以黑龙睛为首的金鱼们,也都一反冬季里一动不动的常态,十分悠闲自得地游动起来了。
面对万物争辉、生机盎然的万千景象,不用谁多嘴点破,人们立时就明白:春天来了!
回想起当初小豆豆在妈妈的带领下第一次来到巴学园的那天早晨,她曾为地面上长出的校门而感到吃惊,看到电车教室时又高兴得几乎跳了起来,随后又认定了小林宗作校长“真是自己的朋友”,从那时算起,刚好一年的时光过去了。如今,小豆豆她们已经幸运地成为神气活现的二年级学生了!而一年级的新生则和小豆豆当初入学时一样,两只小眼睛也是闪动着惊奇的目光跨进了校门。
对于小豆豆来说,这一年的确过的很充实,每一个早晨都是在急不可待中送走的。尽管对走街穿巷的化装广告员的喜欢还依然如故,但她已经知道自己身边值得喜欢的事物实在多不胜数。被以前那所学校以“无法管教”为理由迫使退学的小豆豆,现在已被培养成最具有巴学园风格的学生了。
然而,“具有巴学园风格的学生……”,对于这个提法,家长们在某些方面也确实有所担心。就连信任校长、把孩子放手交给校长的小豆豆的爸爸妈妈偶尔也在心里嘀咕过:“不要紧吧?”更何况那些早就对小林校长的教育方针持半信半疑观点的家长了,他们之中有的仅以目前的事实就企图做出结论,于是便产生了一个想法:
“再把孩子放在这里不管,可就不得了啦!”
持有这种想法的家长终于给孩子办理的转学手续。可是那孩子却流着眼泪舍不得离开巴学园。值得庆幸的是,小豆豆这个班里没有一个转走的;而上一个班里就有位男孩吧嗒吧嗒地掉着眼泪,握着小拳头一声不吭地拍打着校长的后背,他膝盖上以前摔倒时留下的疮痂也跟着一晃一晃的。校长的眼圈也红了。但这位男孩最后还是被父母领着走出了校门。他一次又一次地回过头来向大家挥着手,依依不舍地走了出去……
不过,令人难过的事也就是这一件,而新学期里每一个必然会充满新奇和欢乐的日子正在那里等待着已经升入二年级的小豆豆。
那背在背上的书包也早已同脊背结成了好朋友。 |